医療の資格、無資格、ベビーマッサージとか

先日放送された、、NHKの「クローズアップ現代」という番組の特集が、
「肩こり解消で思わぬ被害!? 癒しブームの陰で何が」 というものでした。

 

この番組に、明治国際医療大学の矢野先生が出演されていました。

 

昨年、母校の卒後研修での講演会を行った時、
控え室で昼のお弁当をご一緒させていただきました。

 

その時、鍼灸治療のこと、業界のこれからのことの話を聞けて勉強になりました。

話を戻して、番組内容は、「癒し」「慰安」マッサージビジネスが増えて、
トラブルが増加しているという話です。

 

マッサージ業は国家資格が必要です。

 

マッサージの国家資格がない者が、料金を取りマッサージを行うことは、
本来は違法行為になります。

 

・鍼灸師
・柔道整復師(整骨院の免許)
・あんま、マッサージ、指圧師

 
この3つは国家資格になります。

・整体
・カイロプラテック

 
これらは、国家資格ではありません。

 

病院で働いていた時に、その病院の事務の方の友人が末期癌だったので、
私に鍼治療で何とかならないかという相談がありました。

 

当時、肝臓癌、肺癌の患者さんを受け持っていたためです。

 

その紹介された方は、当時、38歳の女性で末期の肺癌。
余命3ヶ月を宣告された方でした。

 

マッサージ屋に肩こりが酷いからという理由で通っていました。
このマッサージ屋は無資格者のお店でした。

 

1週間に3、4回行っていたけど、
まったくよくならないので病院で検査をすると、
肺癌ということが分かりました。

 

しかも、分かった時はステージ4の末期の状態でした。

 

この方は、3年前に乳癌になり、乳房切除の手術をそていました。

 

もし、通っていた所でしっかり問診をしていれば、
症状が取れない肩こりの場合、乳癌の既往歴があれば、
肺癌の可能性を疑います。

 

また、私が担当していた患者さんの紹介で、
整骨院に1ヶ月間、ほぼ毎日通うがなかなか、
肩甲骨の内側の痛み、こり感が取れないというので、
鍼治療で何とかしてあげて欲しいと、紹介されました。

 

整骨院では、背骨、胸椎のズレから起きているものだから、
それを、矯正すればよくなると言われたそうです。

 

1ヶ月、まったく症状が取れないので、レントゲンを撮ると
肺結核ということが分かりました。

 
また、この方の顔を見ると、「!?」となりました。

 

「蝶形紅班(ちょうけいこうはん)」が顔に出ていたのです。
これが顔に出ていれば、エリテマトーデスの可能性があるのです。

 

これも見落としです。
こちらも検査の結果、確定しました。

 

肺癌も肺結核の見落としも、問診をしっかりしていれば
起きなかったはずです。

 

私が学校に行きながら、
職人系の先生の整骨院で見習いをしていた頃、よく言われたのが、

 

「5日間、毎日何か治療をしても、よくならない患者が
病院で何も検査していないのなら、病院で診てもらうように言え」

 



と教えられたものです。

テレビ中でも話がありましたが、規制緩和の影響で、
鍼灸学校、柔道整復師(整骨院の学校)の学校が乱立、
確か私が学生の頃の8倍は全国にできています。

 

誰でも入学でき、修行なしで独立する人もいます。
学校でて、すぐに独立は危険じゃないかと思いますがね。

 

業界全体のレベルの低下が大きいように思います。

 

最近、鍼灸業界では、「不妊鍼灸」がブームですが、
鍼灸免許取得して2、3年の者が、不妊鍼灸をマーケティングを使い
大きく宣伝している先生もいます。

 

あまりよい方向に行っていないですね。

私の院でも、「!?」という場合は、
すぐに病院で検査をしてもらうように患者さんに話をしています。

 

 
実際にあったケースでは、

 

5年近く診ている男性の方で、昨晩から尿意があるけどが出ない、
勝手に尿が出てしまうということを来院時に話されました。

 

私はすぐに、鍼灸治療は受けずに病院に行くように話しましたが、
東大阪から来ている方だったので、鍼治療は受けたいと話されました。

 

最初は断ったが、鍼の治療時間を短くしてすぐに泌尿器科に行く
という条件で治療を引き受けました。

 

土曜日ということもあったので、東大阪に帰ってからでは病院は閉まっているため、
私の鍼灸院の近くで、ネットで検索し泌尿器科に行ってもらうと、
腎臓が危険な状態で、午後から来ていたら手遅れになり
腎臓透析になっていたと医師から言われたそうです。

あとで、とても感謝されました。

 
他にも

 

癌にも効果があるというサプリメントを使い
リウマチ治療をしていた方がおらえました。

 

その他自然療法も併用していたが、よくならないので当院に来院、

 

リウマトレックを使うように勧めて、鍼灸と薬と併用しながら治療すると
かなりリウマチがよくなり、歩行困難もよくなった頃に、
咳がなかなか治らないと言っていたので、
すぐに病院で検査するように話しました。

 

1回目では異常なし、しかし咳が治らない。
4日目の検査で、末期の肺癌と分かりました。
その時は、余命1ヶ月を宣告されました。

 

医師が言うには、10年前から徐々に癌はできていたとのこと。
癌に効果があるという高価なサプリを飲んでいたにもかかわらずです。

 

その後、1ヶ月後に亡くなられました。
まだ、39歳でした。

 

こういう例はたくさんあります。

 

国家資格がない整体の先生でも、医学的な知識がある先生もおれば、
医療国家資格があるに、医学的な知識がない先生もいます。

 

無資格、有資格かかわらず、ちゃんとした問診、診断は必要です。

テレビ番組では、無資格整体、カイロについてのトラブルが
あまり語られていないように感じました。

 

2年前、ズンズン体操という無資格ベビーマッサージで
乳児が亡くなった例もあります。

 

 

ベビーマッサージなんかも、資格ビジネスです。

「手に職」とかいって、講習料を頂く、そういうビジネスです。

もちろん国家資格ではありません。

 

 

中には、幼稚園で無資格者が、ベビーマッサージを教えていたりします。

まったく、医学を知らない素人が、そんなことをしてもいいんでしょうか?

私には、疑問です。

 

 

もっと、無資格のトラブル例も放送してもよかったんではないでしょうか?

 

 

 

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